活動記録其の29・富士川編
文:隊長
2001ファイナル! しかし日本三大急流でまたしても地図読み違い!?
〜今シーズン20カ所目の遠征地でチーム“鮫”が見た新たなる瀬とは?〜
  11月19日(月)朝、約9時45分。静岡県富士市のとあるコンビニ駐車場には、手にハムサンドと牛乳を持ってポケーと口を開けたまま空を見上げるオレ(隊長)と、同じく朝飯をパクつくイシカワ顧問の姿があった。
 真っ青な色に晴れ上った空のオレの視線の先には、マフラーのようにたなびく雲をまとった霊峰・富士山が、正しい日本の朝を象徴するかのようにそびえていた。


 日本といえば富士山。富士山といえば富士川
(ふじかわ)である。
 
日本の山を代表するのが富士山であるなら、当然日本の川を代表するのも富士川ではないだろうかっ?(かなり勝手な解釈) いや、そーである。そーに決まった! 
 そこでチーム“鮫”シーズン2001、いよいよファイナルとなった今回のツアーであるが、参加メンバーは結局このいつもの二人組である。これじゃ根尾川の開幕戦とまったく同じではないか。
 当初何が何でも参加させようと思っていた“Mr.6(シックス)”ことダッシュ隊員は、秋のイベント・学園祭が終了してもう10日以上経つにも関わらず、「まだ毎日打ち上げが続いてて...」などと怪しげな理由を並べ立てて、棄権してしまっていた。

 やはり「日本三大急流」というキャッチフレーズが、彼には少々刺激的過ぎたようだ。しかもあの、庄内川の4級オーバー・エビス殺しの瀬で、メガネをフッ飛ばされる大撃沈してをして以来、フネに乗っていない。ビビるのもいたしかたあるまい。
 その他のメンバーもなんだかんだで都合がつかず(←遠征を月曜とかにするからだって話もある)、結局また二人になってしまった我々は、昨日18日(日)にそれぞれ東名高速を走って富士市まで移動してきてビジネスホテルに一泊していた。ここから富士川沿いを遡り、山梨県の鰍沢付近・富士橋からエントリーの予定である。

 食糧を仕入れるために地元スーパー・アオキへ行き、10分ほど開店待ちをして(←主婦みたい!?)すかさず突入。特売の北海道産シャケの切り身を一切れ99円で仕入れた我々は、一路富士川へと向かった。

 富士川は遠かった。いや、正確に言えば富士川自体は近かったのだが、まったり系の我々としてはちょっとでもロケーションの良いところをと、色々検討した結果決定した今回のコースまでが宿命的に遠かった。
 川原がだだっぴろく開け、大井川のようなロケーションの芝川町を通過。このあたりは急流らしくキッツイ瀬が多いと聞く。川沿いの護岸に「カヌーの町・芝川」と大書してあるところを見ると、ハードな瀬を使った競技カヌーでも盛んなのだろうか。
 右手には富士山が見え隠れして、秋晴れの下、ちょっとした行楽ドライブが楽しめた。さらに北上し、山梨に入って南部町、身延町と遡っていくにつれて徐々に川原が狭くなり、富士川は我々的に「◎」のロケーションへと変貌を遂げていった。

 そして川沿いをえんえん遡ること約1時間、塩之沢の堰堤より上流でやっとアウトポイントを探し始める。この辺りの人はあまり川で遊ばないのか、南部町から北は車で川原に降りられるような所がほとんど無い。ここでも川原へ降りる道探しに苦労する。しばらくして富山橋右岸下のジャリ採石場から、川原へ道が続いている所を発見。下流へ向けてラリーのように車をボコボコ揺すりながら水たまりだらけの川原を走ると、なんとか川から上がれそうな箇所を発見できた。ここをアウトポイントとする。 

 今度は上流に向けて国道52号を走り、決めてあった富士橋下の川原に車を置いて、やっとこさエントリーした時にはもう12時を40分以上過ぎていた。前日入りしてホテル泊までしても、結局この遅さになってしまうのがいかにも無計画なチーム“鮫”なのだった。今日はここから約16kmのコースだが、15時30分くらいには川から上がらないと寒くなりそうである。秋の日は短いのだ。って、
メシ挟んで3時間弱で16kmも下れるんかい!?(←ひとりツッコミ) いくら斜度がある急流とはいえ、いきなり不安になる。


 さて、「お気楽☆まったりツーリング」をコンセプトとする我々が、何をトチ狂ったか日本三大急流のひとつに来てしまったワケだが、コースは当然“比較的”まったりコースを選んでいた(だって怖いし)。オレは当然のようにシャーク3号(スターンズ・リバーランナー)、イシカワ顧問も唯一の愛艇・カラカルTである。
 ドピーカンの秋晴れの空の下、漕ぎ出すと最初に目に付いたのは周りの山の美しい紅葉ではなく、水の濁りだった。富士川の水はこんなに上流まで来ているにも関わらず、かなり不透明だ。そういえば遡ってくる時にもあちこちで見かけたが、河川敷ではやたらにシャベルカーが動き、周辺道路は
ダンプカーのラリーでもやっているのか(←やってねーよ)、大型ダンプが次々と狭い道を爆走してきていた。ジャリの採石なのか何なのかよくわからないが、とにかくあっちこっちで川岸や川原を引っかき回したり工事したりしている。
 それがかなり上流から下の方まで、そこかしこで行われているのだろう。おかげで川の水には濁りが出てしまっているようだ。水中をよく見ると微少な砂粒の粒子が小さくキラキラと光って水の中を流れていた。

 富士川はトロ場のような所が少ない川だ。急がなければと頑張って漕いでいたが、緩やかに見える所でパドルを止めてみても、周りの景色が流れていくスピードが他の川で漕いでいる時と同じくらいに感じる。
 あっという間に一つ目の鹿島橋を越えてしまった。ガイドブックによるとこの辺りが
国体のスラロームコースになっており、2〜3級のテクニカルな瀬や渦、ボイルなどがあるとのことだったが、流れが変わったのか、どれがそれかわからないうちに通過。次の月見橋も見えてきた。
 そこには護岸されている右カーブの所にちょっとした瀬が見える。真ん中あたりにホールが見えたが、落差もどうってコトない感じに思えたのでそのまま真ん中を進む。が、「ザブン!」と波に突っ込むと
ヤケにショックが分厚く、一瞬瀬の中でフネが停ったかのような感覚が...。
 結局どうってコトなく抜けたが、今までの川の同クラスの瀬とはパワーが違う、何か波が「肉厚」な感じがした。急流なだけあって水にスピードが出ているからなのだろうか? 
しかし

「ヤベエよ、波が分厚いよ!」

 と騒ぐオレに対し、イシカワ顧問は

「そうですか? ま、越えられないほどじゃないですけどね」

 と、
至って冷静だ。前回の根尾川でポーテージしてしまったカッコ悪さを悔やんだのか、今日はスマートに行くつもりらしい。しかし今日はメガネバンドの他に、耳にメガネを固定する器具まで付けてきている。なんだかんだでやはり急流対応らしいが、ヘルメットは被っていないという謎のイシカワ顧問であった。

 そうこうするうちに紅葉に彩られた山が開け、峡南橋が見えてきた。山あいを出た所で左に富士山のアタマが見える。それが今回のコースで唯一、富士山が見えるポイントだった。
 すでに5kmくらい来ているハズだが、時計を見るとここまで1時間も掛かっていない。やはり流れは速いようだ。峡南橋の下も忙しそうに工事をしている。そういえば今日は月曜日なのだ。

 そこは両側を工事しているため川幅が狭められ、斜度がキツイのと相まって流れに相当スピードが出ていた。と、狭くなったストレートのド真ん中に、いきなりデカい白いウェーブがあるのが目に付く。真っ直ぐ突っ込むとそれは、3級!? と思わせるほどの落ち込みが水面下の岩によって作り出されている、天竜川・鵞流峡の中程にあったあの強力なホールに匹敵する瀬だった。
 水の壁に突っ込んだ時の衝撃がドスン! と伝わってくる。アタマっから水を被り、衝撃でフネが大きく揺さぶられるのがわかった。
 ちょっとでも斜めに入ったら間違いなく撃沈である。腹筋をカチカチに緊張させながらパドリングして抜けると、今度は返し波に乗って大きく船首がハネ上がった。スゴい瀬だ。
 もうここまでで天竜川と同等か、それ以上のパワーがある川だという感想でイシカワ顧問と一致する。さすが急流と言われるだけの川である。まったりコースでも、瀬のスリルは今年のベスト5に入りそうな勢いで、まったく油断ならない。
ダッシュ隊員をムリにでも連れてこなかったのが悔やまれる。
 

 その後も適度に2級強の瀬が次々と現れるが、楽しみながらクリアする。橋の順番で数えていくと富士橋→鹿島橋→月見橋→峡南橋→富士川橋と来て、飯富橋を越え、もうすぐ事前に調べた本日最大の難所・屏風岩の瀬が、この左カーブの先の山の下に7・80mに渡ってあるはずだった。
 そして前方には問題の難所の目印、屏風岩が見えてきていた。しかし、行ってみるとなんだコリャ? 瀬? って感じの緩〜い流れで、聞いていたような「岩肌に流れがブチ当たってハネ返っている波がヤバい」はずの瀬とはどうしても思えなかった。

「おっかしーなー」

 そこで地図を取り出して確認する。地図上では、岩肌に直角に近い流れが命中していそうなところは明らかにそこである。しかも
越えた橋の順番からしてここで間違いは無いハズなのだ。これじゃあちょっと前に越えた、岩肌に流れが当たっていた3級弱くらいの瀬の方がそれっぽいではないか。オレの記憶違いだったのだろうか? 
 だが、前方にはかなり遠いが、これまた「地図通り」に富山橋が見えている。ここで間違いないと踏んだ我々(オレ)は、地図上であと約3kmを残し、ランチポイントとして屏風岩下流の中洲に上陸した。


 今日のランチは味噌でシャケと野菜を煮込んだ「石狩」風鍋である。煮込んでいる間、対岸の工事現場を見ながら

「ホントに工事ばっかしてるなー。だから川がこんなに濁ってんだよ」

 などと建設行政に悪態をついていた我々であったが、完成した鍋はすべてを忘れてダマらせるような美味しさなのだった。イシカワ顧問などはいつも恒例の、ビールを出して
乾杯することすら忘れるほど、鍋を堪能していた。
 暖かい静岡地方(注:ここは山梨県)といえども、やはり秋である。まだ2時半くらいだが、少し雲が出てきて太陽が陰ると急に寒くなってくる。そんな寒い川原で食べる熱い鍋が、最高でないはずがないのだ。
 そこで腹がふくれてアタマにエネルギーが回りだしたのか、フト地図を見ると冷徹な疑問が湧いてきた。

「対岸の道路が地図よりヤケに近くを走ってるような気がするけど...まさかオレたち、橋、間違えてないよね?」

 と聞くオレ。

いつものように嫌な予感がしてくる。

「宮川パターン(注:宮川編参照)ですか?

 とやや冷静にイシカワ顧問が呟く。

「...」

 沈黙の中、我々は顔を見合わせるとそそくさと慌てて鍋セットを片づけ、食後のコーヒーをゆっくりすする間もなく再びフネに乗り込み出発した。

 前方に見える富山橋、のハズの橋を目指す。が、そのスグ手前にあるはずの早川の流れ込みが、どう見ても無い。それどころか橋の下が、今朝走ったジャリ採石場にはなっていないのが見えて来た。しかも下流に向けて真っ直ぐのハズの川は、左方向に大きく曲がっているではないか!

「ヤベエ、また間違えた...」

 オレはうめいた。
 またである。ゴールの富山橋と思っていたのはどうやらひとつ上の飯富橋だったようである。
 後でわかったことだが、ガイドブックによると、地図上には書き込まれていない仮設橋が峡南橋と富士川橋の間に掛かっており、それがかなり立派に衣替えしていたため、まさかそれが仮設とは思わずにそれを富士川橋とカン違いしていたのだ。結果、ひとつずつ橋をズレて認識してしまったらしい(やっぱり数えた橋の数は合っていたのだ! って、エバるほどのことでもないけど)。

「国土交通省めー、橋ゲタにも名前書いといてくんないとわかんねェよ!」

 などとメチャクチャな責任転嫁をしつつ、その時オレはかなりアセり始めていた。なぜなら、すでに時間は3時を回っている。あと3kmくらいと思っていた残り行程が、突然7km前後に増えてしまい、日暮れが近づいて来ているのだ。
 前日の感じでいけば4時半には薄暗くなってしまう。ってゆーか、スデに雲が出て、日が陰りだした時点でかなり寒い。そういえば先ほどから川下方向より冷たい風も吹いてきてて、思いっきり逆風だ。手袋をしてないと手がかじかんでくる。

 そんなアセる我々を、新たなる瀬が襲う。ホンモノの飯富橋下から続く船首がバカスカ跳ねる早瀬の後半に、デカい隠れ岩を伴うヤバイ瀬がパックリとホールの口を開けていたのだ。

「うぉーっ!」

 一瞬アセるが見事に岩の横を左に回避することに成功。その下のホールも「ガボン!」と底まで突っ込むが無事に脱出できた。しかし相変わらずシャーク3号は、めいっぱいギリギリまで水船になってしまっていた。振り返るとイシカワ顧問も隠れ岩にかすりながらもすり抜けてきている。
 このヘンの富士川は大岩が無い代わりにスピードのある流れの中に突然トラップ的な隠れ岩があって、それが勢いのあるウェーブを作り出して強力な瀬が形成されている、というのがパターンのようだ。しかしそんなコトより、橋を間違えていたということは、この先の、アノ前方に見える岩肌が本当の「屏風岩」で、その下には
“真・屏風岩の瀬”が今度こそ待ち構えているハズなのだ。

 それはかなり遠くから見えた。富士川は見通しがいいので、こんな所は有利だ。“屏風岩の瀬”は岩肌に向けて突っ込んでいる直進した流れが、斜めにハネ返されているように見えた。事前の予習によれば、落差は2段で2m前後のハズだ。
 しかしガイドブックでは「ストレートで素直」なハズのその瀬はかなりな曲者のようにしか見えないが、気のせいだろうか。

 オレは大ソトから回りこんでスピードに乗って入り、岩肌からの返し波をかすめて突破・離脱するルートをアタマに思い描いた。進入ルートはカンペキ! と思ったら、入ってみると落ちてて見えなかった所で、意表を衝いて右斜めから3〜4波の、波高5・60cmぐらいもある海岸にうち寄せるようなカタチの波がこっちに向かってくるのが...!! 

「ハレッ!? なんで!?」

 と質問する間もなく勢いよく右斜めの水の壁に突っ込み、フネが急激に傾く!

「ぐわっ!」

 @後ろからの流れとA左側面・岩肌からの返し波とB右斜めからの波状攻撃という三つのミックス・ストリーム・アタック(三連星のドム?)を、バウンドした後のホールの中で同時に食らい、ぶつかってきた水で前が見えない!! 
 グラッ! と、かつて無い、ヒネるような衝撃で右に45度近く傾くシャーク3号! 豊川で自爆ロールした瞬間のような感触に、もうダメか!? と思った瞬間、オレは無意識にパドルで右の波を叩いていた。
 それでなんとか姿勢が戻り、そのまま波を越えたが、右からブチかまされているのでフネが左を向いてしまっている。左パドルで向きを戻して次のウェーブに突っ込み、なんとか越えるコトには成功したが、横からかなりな水流を感じてフネはとても不安定だ。
 いつもより水量が多かったのか、そこは本流の他に右側から小岩だらけのザラ瀬を流れてきた水が、結構なスピードと落差で本流に合流しているため、それが右斜めからの謎の高波を生んでいるらしかった。いまだかつてこんなに複雑な波のある瀬には遭ったことがなかった。
 
 イシカワ顧問もなんとか抜けてきたがかなりビビったようだ。瀬のスリルは今年のベスト3に入りそうな勢いだ。
ダッシュ隊員をムリに連れてこなくて良かったと思った(←さっきと言ってることが違う)。

 しかし、難所を越えてこれで終わったと思った我々に、富士川は更なる
過剰サービスを用意していた。
 これまたガイドブックによれば、だが、屏風岩の瀬の後200m程の所に大岩が点在する2〜3級の瀬が左岸寄りにあるとのことだった。しかし流れはむしろ右岸に向かっている。流れが変わったのか? 大した岩も無い。しかし...。

 その先のほとんど水量が無い早川が合流しているポイントあたりだった。前方に白く泡立つ瀬が50m以上続いているのが見えたが、景色がヘンだ。

「!?」

 瀬の後の川の水面が見渡せるのだが、それがまるで上から見ているような角度で
普通に水面が平らに見えるのだ! 

「ちょっと待ったー! コレってこの瀬がメチャメチャ傾いてるってことぢゃねーのかっ!?」

 と怒鳴ってみても瀬は緩くなってはくれない(そりゃそーだ)。
 水上の養老天命反転地(注:岐阜にある、視覚的に平衡感覚を狂わす仕掛けがしてある謎のテーマパーク)というべきか、知らず知らずに平衡感覚を狂わされていた我々は「そこそこの落差に見える瀬」(実際はスゲエ斜度の早瀬)に為すすべもなく突入してしまった。

「うおぉぉぉぉぉおお!!!」

 誰かが勝手に後にスクリューでも付けたかのようにスピードがやたら早い! そしてデキてるウェーブの勢いがハンパじゃなく豪快だ。水の坂を下ってるようにズバッ! と進むが、ウェーブで船首が狂ったように跳ね、タマに一瞬「フワッ」とした浮遊感覚まである! 
 幸い方向さえ一直線ならスピードに乗ってしまってるぶんだけ、ホールに突っ込んでも力ずくで勢いに任せて突破できてしまう。だがかなり前傾になっていないと、前面からブチ当たってくる水の勢いが体を後に持っていきそうでヤバい。
 そのまま瀬から吐き出され、先ほど「上から見た」水面にたどり着いた時には、何かトンデモないものを見た後のような気がしていた。

「何だありゃー!」

 思わず出たセリフはそれであった。
名付けて“下流の水面が平らに見える瀬”(そのまんま)とでも言おうか、とにかく異様な角度を持った早瀬だった。

 その後は辺りが徐々に薄暗くなる中、右岸に停めてある車の所へ行くため、ゴツゴツの岩場の間を水が勢い良く流れている箇所をライニングダウンしながら進み、やっと川岸にあるイシカワ顧問の車を発見する。

 しかし富士川は
まだ許してくれなかった。

 岩場を流されているフネに引きづられて歩いた後、テトラが沈む激浅の所から、左岸より3級クラスの落差で合流がある流れの中にフネを降ろし、やっとの思いでラスト300mを漕ぎ出す。しかしそこはまたしても斜度のキツさから来る、ストレートな早瀬になっており、サイストラップも付けずにウカツにド真ん中を行ってしまったオレに最後の早瀬ウェーブをプレゼントして、ヒヤリとさせてくれたのだった。
 そうしてやっと我々がアウトポイントのジャリ採石場に這い上がったのは、約4時のことである。


 富士川は確かに急流だった。流速が早いので、結構な距離でも意外と早く着く。しかしそれは瀬の突入スピードも早いってことで、斜度もそれだけあるってコトなのだ。強力な瀬に突入するのは恐ろしいことである。しかも斜度が生み出すスピード、スピードが生み出すパワーは、当たり前かもしれないが突入して体感してみなければ完全にはわからない。

 今年は未知の川にばかり挑んできた“まったり系”カヌーチームの我が“鮫”が最後に得た結論がそれである。
 てなコトで来年はドーする? 我々は、相変わらず未知の川へとチャレンジするのだろうか? そして日本三大急流の残りふたつ、球磨川と吉野川には、いつかチャレンジする日がやって来るのだろうか? 

 それは、誰にもわからない...。

 名古屋カヌーチーム“鮫”シーズン2001、これにて閉幕。




今回の教訓: 「国土交通省の人にお願い。橋ゲタにも名前書いて下さい。(←単なるワガママ)