文:隊長 |
2000年7月2日 | ||
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川幅がキュッと細くなり、流れが左岸に吸い込まれている所があったかと思うと、急速にスピードの上がる小さな右カーブが続き、その直後(約3m)に平たいテトラポットを角に意地悪く配置した、ほぼ「直角?」と思われるようなキッツイ左カーブが2級程度の瀬を伴って待ち受けている箇所を発見! これがチーム“鮫”史上初にして、2000年度最大の難所といわれる員弁川“魔の撃沈カーブ”であった。 「うおぉぉぉぉ!」 先頭にいたオレはスピードに乗ったまま最初のカーブに突っ込んでしまったためアウトコースにふくらみ、一瞬テトラに衝突!? というところまで接近。ヒヤっとするも、絶妙のパドルさばきで最後の直角カーブをさながら“水上ドリフト”のように艇尾をすべらせ無事クリアした。思わずパドルを頭上に振り上げ、 「クリアー!」 となぜか歯を食いしばりながら、雄叫びをあげてしまったほどの爽快感である。この時のオレはまちがいなくリポビタンDのCMの主人公の一人だった(と思う)。 だが、へなちょこぞろいのウチのメンバーは!? と、ふと我に帰ったオレはスグにフネを岸に寄せ、後ろを振り返った。 次に突入してきたのは土居隊員。チーム“鮫”の切り込み隊長兼鉄砲玉であるにも関わらずナゼか瀬の突入はいつも2番手だ。土居隊員は重い2人艇ながらもパドルを器用に使ってなんとかクリアー。 続いてダッシュ隊員。まだ練習も含めて2回目であるが、ダイエットのために“鮫”に参加したぐらい太っているワリに運動神経がいいらしく、絶妙のバランスと突入ルートでパドルさばきもなかなか板についていた。 | ||
颯爽とクリアしたダッシュ隊員の後はしばらく間があいたが、2人が続けてカーブに入ってくるのが見えた。イチロー隊員とジョニィ隊員である。哀しいことに、右カーブにスピードに乗って突入した(というより吸い込まれた)イチロー隊員はそのまま、なすすべもなく外寄りのコースを進んでいた。結果、最後の直角カーブでテトラポットに艇の左を猛スピードで乗り上げてしまい、そのまま綺麗にスキップジャックの青い腹を見せつつ、もんどりうって流れの真ん中に「ドボン!」と、ぼてくり落ちていった。 2発目の撃沈である。まさに押しも押されもせぬ「撃沈王」誕生の瞬間であった。 5秒後、続いたジョニィ隊員もまったく同じコースを辿り、まったく同じ運命も辿ってしまったことは言うまでもない。 そしてこの光景をオレとダッシュ隊員は腹を抱えて笑ってしまっていた。人の撃沈は見ていて面白いと聞いていたが、それはかなり本当であった。 そんなこんなでチーム“鮫”初の難所、“撃沈カーブ”は犠牲者2名を出し、その存在を我々に知らしめたのである。 その後どうやっても車では来られないようなジャングル風の川原に到着した我々は、バーベキューセットを持ち出し、豪華にもカルビ焼き肉を始めた。ズブ濡れのイチロー、いや“撃沈王”イチロー隊員はシャツを乾かしながら地黒の肌をさらに焼きつつ、撃沈の余韻に浸っていた。メンバーの食欲は、初めての爽快なリバーツーリングのせいかやたら昂揚し、全員が凄まじいまでの食欲を見せたため、のどかなはずのランチタイムもすぐに終わってしまった。そして再度出発。 しかしそのランチポイントのすぐ目の前にはまたしても2級程度の瀬がいくつか散在するポイントがあり、水音を立てて我々を威嚇している。イチロー隊員は当たり前のように瀬を避け、しょっちゅう引っかかって止まりながらも浅瀬をノロノロ漕いで行ったため 「魚へんに弱いと書いて“鰯”(いわし)、それはイチロー」 などとメンバーにからかわれていた。 つよし隊員も“撃沈カーブ”で2隊員が撃沈する様を目撃してびびったのか、イチロー隊員に続いて浅瀬を進んでいった。鰯が2匹である。 その後は川幅が狭いながらも夏草が両側を覆う素敵なロケーションの川を、照りつける太陽のもと爽快に漕ぎ下るというまさに「気分は最高」のダウンリバーツアーであった。
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○○○番外編○○○
情けないジョニィ
ダッシュ隊員危機一髪!迫るテトラポット