活動記録其の66・亀尾島川〜長良川編part5
文:アビルマン隊員
2002年10月19日
スポットな人々の前で痛恨!
〜そして癒し系・亀尾島川で朝練隊が編み出した新漕法とは!?〜
  長良川。そう、全国的にも清流で(というより河口堰で)有名な川である。
 “鮫”の発足当初からその下流では数多くツアーが開催され、「二股の瀬」などの存在で活動記録にも
結構ヤバイ川としてその名を轟かせている。
 その支流の中でも武儀川は僕の好きな川の一つだが、他にも長良川の支流には本流よりもキレイなところが多いらしい。(活動記録の武儀川、板取川編などを参照のこと)

 そして、今回は未知なる支流「亀尾島川」がツアーの目的地である。
 もちろん鰯の僕は長良川本流のスゴイコースを行くなんてことは、当日の朝の時点では知る由もなかったのである。

 本日のメンバーはチーム“鮫”第2のユニット“朝練隊”こと、sakuzo鬼軍曹隊員と黒太隊員と僕の3人だ。
僕以外の2人は最近、W.W(ホワイトウォーター)系の川ばかりに行きたがることから癒し系チームである“鮫”の中ではかなり異彩を放っている。が、、今日の二人はどうなることやら。。

 前日の僕は仕事を早めに切り上げて遊びに行ってしまったため、家に帰ってからもパソコンに向かうはめになってしまい、結局、当日は寝坊。(最近、朝が弱い? 老人アビルマンであった)
 それでも、約束の時間に20分遅れで関市役所に到着。二人はもちろん時間通りについており、かなり恐い顔をして僕を待っていた。sakuzo鬼軍曹はまさしく
鬼のような顔をしてヤクザの香りがぷんぷんだ。
 そんな二人の前で笑ってごまかす僕に鬼軍曹から
「今日はラフトが通るコースだから楽しいですよ〜」
なんて言われてしまい、さっきまでの怪しいアビルマンスマイルはどこかに飛んでいってしまった。
「聞いてないですよ〜。亀尾島川でマッタリコースじゃないの??」
と、聞き返す僕に
「亀尾島川はすごく短いので長良川とセットなんすわ〜」
ボケる鬼軍曹。
 これはまんまと騙されてしまった。
 あの、いろんなHPでも紹介されている長良川のラフトコースなんて、、、汗。
「ただ、天気が心配なんでアウトポイントは2箇所考えてるので、短いコースだと楽勝ですわ〜」
 なんて、ノンキなことを言ってやがる。鬼軍曹は実は以前に、今は亡き(?)ためごろう隊員と一度下っていることからかなり余裕のようだ。

 とりあえず、リバーベース? と呼ばれる地点に一台車を置いて上流に向かい、美並苅安駅というところにもう一台を置いていくことに。その途中でラフトが下っているところを見たが今日の長良川はかなり水量が少ないらしく、とてもラフトで下って楽しいようには見えなかった。しかし、この“鮫”での二十数回に及ぶリバーツーリングの経験から
“上から見える川は氷山の一角に過ぎない”という教訓を得た僕はまだ、安心していなかった。
 今まで、何度も騙されて? 来ているからだ。(主に隊長に)

 そして、美並苅安駅から亀尾島川に向かう。エントリするポイントは櫛田川や武儀川のエントリポイントよりも勾配のきつい坂を下らなければならず、体力のない僕は一度で荷物を運ばないとしんどくなる事が予想されたので、GUMOTEXバッグに装備を詰め込んで恐る恐る降りることにする。ロープが地面に沿って這わせてあるのでそれを握りながら小さな川原に降り立ち、いつもの愛艇GUMOTEXサファリをセットアップ!
 秋冷え? のため、かなり着込んでいたのだが、また、いつものように汗ダクダクになってしまったのは言うまでもない。
 sakuzo隊員も同じサファリを、黒太隊員はアワーズの旅鴉で参戦だ。

 二人が準備してる間に僕は、エディーに入って川を眺めてみる。たしかにこの川の透明度はかなりイイ。底が砂地になっているところはコケも生えていないため、川が青白く見える。根尾東谷川なんかと同じ青さだ。
 水中をよく見るとなにやら魚影が見える。鮎かアマゴだろうか? 川魚にうとい僕にはよくわからなかったが、とてもキレイな魚で素早く僕の視界から消え去っていった。

 そうこうしているうちに二人も準備ができたようなのでアタック開始!

 川幅が狭い上に勾配がきついようで、意外と流れが速く、流されていく。sakuzo隊員が先頭を漕いでルートを指示してくれるので、初めての割に漕ぎやすい。ただ、水量不足は
サファリの敵であり、僕を脅かしていた。
 思ってたよりも癒し系ではなく、小さな瀬が連続して僕らを楽しませてくれる。岩が多いのでスラロームっぽいコースだ。途中で狭くなっているところがあって僕が先に入ったのだが、引っかかって止まってしまった。なんと、その先には瀬が迫っているところなのに。

 僕がなんとか脱出したら目前には瀬があり、モタモタしている僕にsakuzo隊員が追いついてしまった。パドルを上げて先に行ってもらおうとしたが狭すぎてお互いの艇が接触!
 とっさに
互いのパドルを握り合ったまま瀬の中に!!!
 サファリ二艇によるダッキー界初の
“カタマラン漕法”で瀬をクリア! 歴史的な瞬間であった。爆

 そんな笑い事のようなアクシデント? を乗り越えてあっという間に亀尾島川は終了。長良川へと流れ込んだ。僕にとっては初の長良川本流である。
 さすがに木曽川や揖斐川で感じたような勢いを感じた。

 第一の瀬は先回、sakuzo隊員が唯一沈したという、川の左岸よりに流れと平行に壁(?)が突き刺さっており、その壁のせいで流れこみができているというイヤラシイ瀬だ。とりあえず、岸に艇をつけてスカウティングをする。壁のせいで水路のように狭いところをすり抜けなければならない上に最後は曲がり角のため、流れが岩にぶち当たっている。
 sakuzo隊員は僕らの写真を撮るために最後に行くという。とりあえず、ヤケクソで僕が最初にトライ。
 ビクビクしながら突っ込んだら瀬は意外と簡単にクリア! しかし、目前には岩肌が。。
返し波? のおかげではじき返されるように戻されエディーに入る。黒太隊員も旅鴉でなんなくクリアし、sakuzo隊員も写真を撮り終えるとサファリに乗り込みクリア! リベンジを果たしたのである。

 ここは「壁の瀬」と名づけよう。(だんだん隊長に似てきて勝手に瀬の名前を変えている僕)

 そして、この後はあの「オーナー針の瀬」である。
 今日は水量が少ないせいで岩の露出が多くて、隠れ岩が見えやすいようだ。念入りにスカウティングし、sakuzo隊員にアドバイスをもらい、またもや僕からエントリする。

 イメージしたコースでは真ん中にそびえる岩の左側から瀬に入り、隠れ岩の隙間を縫ってという感じだったが、実際には岩に吸い込まれそうになり慌てて漕ぎまくってなんとか岩の左を抜けて隠れ岩の上を乗り越えて行くという、なんとも危険な結果となってしまった。

 黒太隊員も岩に吸い込まれそうになったらしいが難なくクリア。旅鴉の性能なのか、それとも実は生まれながらにしての“ダッキー野郎”なのかもしれないと思った僕であった。sakuzo隊員も余裕でクリアするあたりが今日の“朝練隊”のすごいところだ。奇跡?

 ただ、残念なのはときたま降り出す小粒の雨くらいだろうか? 雨嫌いのsakuzo隊員がしきりに口にしている。

 「オーナー針の瀬」をクリアした我々はかなり意気揚々としながら下って行った。
 しかしやはりというか、
出る杭は打たれる。天狗の鼻は折られるためにあるのだ。

 我々を待ち構えていたのは十数人のスポットプレイヤーが集う、結構落差の大きい左カーブの落ち込みだった。スカウティングしながらsakuzo隊員は
「水量が少なくて逆に落差が大きくなってますわ〜、途中で沈すると右岸のエディーにつかまりますね」
とか言って僕を脅かしている。

 僕はいつも隊長から
「アビルマンは自意識過剰だから人前で沈するんだよ〜」
と言われているくらい、人前での沈が多いのだ。
ここは絶好の沈スポットだ。
 なんて、冗談は置いといてスポットプレイの人たちも一生懸命練習をしているので、我々も様子を見ながらエントリすることに。sakuzo隊員が一瞬視界から消えたのを確認して僕も突入。
「????????」
 いきなりsakuzo隊員は沈して右岸のエディーに。。。
 躊躇している僕に、練習している人の中のリーダーらしき人がタイミングを指示してくれたので、sakuzo隊員を横目に落ち込みに。水舟になりながらもなんとかクリア。黒太隊員もクリアして二人でエディーに入り、sakuzo隊員を待つ。

 しかし、エディーから本流に戻れないsakuzo隊員。流れが強すぎて無理にエントリしてもサファリだと沈するのが目に見えているからだ。結局、右岸を少し艇を引いて遡ってからエントリ。そのままリベンジしてクリアしたのであった。
 本人曰く
「前回の自信が過信になってしまった」
ようだ。
 やはり、川は恐いものだ。毎回、違った表情を我々に見せてくれる。

 すっかり意気消沈したsakuzo隊員を励ますため(?)昼食を取ることを黒太隊員が提案したので川原に上陸することに。今日の給食当番は黒太隊員がかってでてくれていた。
 メニューは鳥もも肉の赤ワインガーリック煮込みだ。
 もも肉をガーリックで炒めた後に、赤ワインで煮込む。シンプルな料理だが冷えた体にとても美味しかった。残った赤ワインはもちろんそのまま我々の胃の中に消えていったのだった。
 そうしてるうちに先ほどのスポットな(?)人たちが下ってきた。sakuzo隊員はさっきの沈がよほど恥ずかしかったのか、服を脱いで
違う人の振りをしようとしている。
 あのヤクザな風貌は何を着ても同じだと思うのは僕だけだろうか???

 ま、気落ちしているsakuzo隊員を励ましつつ後半戦スタート。当分は瀞場が続きまったりモードだったが、川幅が狭くなると瀬というか落ち込みが見えてきた。

 ここは右岸にある岩に当たった流れと、左岸側の流れが真ん中でぶち当たっているという、少々複雑な流れだ。僕は右岸から、sakuzo隊員はやや左岸側から落ち込みに入ってクリアしたが黒太隊員は運悪く(?)流れのぶち当たっているところに入ってしまい、腹を持ち上げられて旅鴉とともにひっくり返されてしまった。

 これこそ、流れ出す荷物、流れ出す艇。僕がいつもやっているパターンだ。久しぶりに人の撃沈を見て楽しくなっていた。
 ここでみんな体力を使ってしまったのでアウトポイントを美並苅安駅にして距離を縮めることに。
「もう、瀬も落ち込みも無くゆるゆるですよ」
のsakuzo隊員の言葉通り、瀞場が続いて僕も安心していたら、、、やはり、、、
隠れ岩で疎沈してしまいました。
 しかも、
立て続けに2回も。僕はチーム“鮫”の誇る“ミスター沈”であることをこの時、完全に自認したことはいうまでもありません。
 そして美並苅安駅に到着。たくさんのカヤッカーがいる中でコーヒーを飲んで休憩。アユラーのいない川を満喫した僕らはそれぞれの沈を悔やみながら、長良川をあとにしたのでありました。




今回の教訓: 「アユラーのいない川は最高! しかし、川はいつも同じとは限らない。油断するべからず!」