活動記録其の10・木曽川編part2
文:隊長
2001年4月29日
チーム“鮫”に新たなスキップジャック登場!?
〜K2 CHALLENGER、雨の木曽川にデビュー!!〜
今回のMAP

 前回のドタキャン事件の衝撃もさめやらぬ4月29日(日)、チーム“鮫”いつもの集合場所・金山総合駅南口にはキーが付いているどころかエンジンもかかったまま置き去りにされた土居隊員のギャランと、突然その運転を任され、なおかつ一緒に共同購入した二人艇に乗って行くはずだった“撃沈王”イチロー隊員にすっぽかされ、わけもわからず呆然と立ちつくす“もっち”オカモト新入隊員の姿があった。
今回のツアーのメンバーはオレ(隊長)と土居隊員、イチロー隊員、にしお新人隊員、そしてオカモト新入隊員の5名のハズであった。しかし土居隊員は前夜イタリア人との夜遊びのため、寝不足からくる頭痛に悩まされ金山まで車を持って来た上でそれをオカモト新入隊員に「託して」地下鉄で帰ってしまった。そしてイチロー隊員はといえば、こちらも金山を目前にしたところで携帯に上司から「輪転機が壊れた」という理由で出社命令が掛かり、ゴールデンウィークにも関わらず会社へとUターンをカマしてしまう哀しいサラリーマンと化してしまっていたのである。

 今日の行き先は「未知の川へのチャレンジ」計画第4弾として長良川の支流「武儀川」を予定してあったが、周りを見回したオレは、行き先をいきなり木曽川へと変更したのだった。だって2回目のヤツと初めてのヤツが各一名づつ、プラスオレとゆー状況では、さすがのオレもワリと難易度の高さが予想される川に連れていこうという気にはなれなかったのであった。ああ、なんてやさしいオレ(隊長)。
 とかいいつつ、ジツはオレにもイシカワ顧問がインターネット通販にて65ドルで購入したスキップジャック風の二人艇「K2 CHALLENGER」を試乗するという崇高かつ実験的な目的があったのだ。したがってその安定度がわからない段階で未知の川に挑むのは、ウォーミングアップもしないで半年ぶりに入った川でいきなり3級の瀬に飛び込むようなものである。そんな愚かなマネ(※長良川篇 Part-1参照)をしないための安全策であった(ちょっと鰯)。
 途中鶴舞のイシカワ邸に寄ってまだ寝ていたイシカワ顧問を叩き起こし、まっさらの「K2 CHALLENGER」を受け取った我々は、一路いつものコース、木曽川・中流へと向かった。このとき、天候は除々に下り坂であった。
 で、まったくいつもの様に笠松に土居隊員のギャランを置いた我々は、これまたまったくいつものようにそこから約16km上流の木津付近まで行き、エントリーした。...と、サラッと言いたいところだが、チーム“鮫”第二世代・制式標準艇の期待がかかる「K2 CHALLENGER」はメチャクチャ空気が入れにくかった。まったく初参加のオカモト新入隊員が、これまたまったく初めてのGUMOTEX(本来の共同購入・イチロー&オカモト艇はイチロー隊員がクルマに積んだまま出社したため今回は土居艇)を膨らませ終わっても、オレは モンダイの「K2 CHALLENGER」の一気室もいっぱいに出来ていなかった。どうやらバルブに問題があり、少々ムリしてノズルを斜めに強引に差し込んでやらないと空気が入らないようだ。
 それに気づいたオレがオカモト新入隊員の助けを借り、なんとか5気室もある「K2 CHALLENGER」を膨らませた頃にはすでにポツポツと雨が降り出してきていた。しかしそれでもまだ、にしお隊員は自分のスキップジャック“かつお丸”(柔軟性が無いにしお隊員を「さかなへんに堅い」と書いて“鰹”と命名したことに由来)をまだ必死に膨らませていた。
 雨の中、フネをセットアップするのに汗だくになり、イラついていたオレはそんなにしお隊員を待たずにそそくさとフネを水に降ろし、広い木曽川の真ん中に向け漕ぎ始めた。続くオカモト新入隊員。しかしさすがに2回目であるにしお隊員はスグに後を追って水面に降り、あっという間にオカモト新入隊員を追い越してオレがぼんやり浮かんでいる川の中程まで漕いでくるではないか。
「結構漕げるじゃないの。よーし、次は根尾川(※根尾川篇参照)に連れてってやる!」
と固くココロに誓ったオレは、オカモト新入隊員にカヤックの漕ぎ方をカンタンに説明すると、さっさと瀬の音のする方向へと「K2 CHALLENGER」を漕ぎ進めたのだった。
 「K2 CHALLENGER」は2人艇のため3m40もあり、縦方向の安定性はオレがいつも乗っているシャーク2号(GUMOTEX jr)よりも全然ある。少々の波ではピクともしないどころか、ヘタすると波が当たったこともあまり感じないほどであった。(シャーク2号は小さな波でもバウ(船首)がポンポン浮き、波が当たっているのがいちいち体感できるのに...)しかし横方向の安定性はデカいチューブのワリにスキップジャックと大差ない感じである。それでも印象としては
「使える!」という感じである。
これなら巧くコントロールできれば長良川の“二股の瀬”(※これも長良川篇 part-1参照)もクリアできるような気がしないでもない。
「やっぱ2人艇は安定性バツグンだなー。こんなんで沈するヤツいるのかなー」などとつい軽口をたたきたくなってしまったのが、オレが初めてインフレータブルの2人艇に乗った正直な感想である。
 ただ、そうはいっても材質が我らが“なんちゃってお手軽カヤック”スキップジャックとそう変わらないような気がするのは気のせいだろうか? 一応、材質はPVCらしいんだけど...。


 雨の中を漕ぐのは初めてではなかったが、やはり天気はいいに越したことはない。思わず先週の牧田川の極楽ツーリングを思い出す。しかしオカモト新入隊員は
「いやー! みんながカヌーカヌーって言うのが、やっとわかりました。キモチいいっすねー
と大ハシャギである。
一方かつお...いや、にしお隊員は2回目のはずなのだが、なんだか漕ぎ方が頼りない。あっちこっちフラフラしてヨロめいている様はまさに“ダッキー”って感じだ。さては初参戦の長良川では方向だけ保って、ジツは流されてただけなんじゃ...という疑念がアタマをよぎる。その姿は今まで誰も撃沈はおろか、疎沈すらもしたことがない、このホームリバー・木曽川の超・初心者コースで初の「沈」が見られるかも...といやがうえにも期待が高まるような漕ぎ方であった。
 しかし大河・木曽川は、降り出したばかりの小雨でいきなり水量が劇的に増えるような川でもないため、次々と来る最大でも2級程度の瀬ではかつお...じゃなくてにしお隊員の初心者不安パドリングでも何のモンダイもなく、クリアできてしまっていた。オカモト新入隊員も持ち前の運動神経の良さとGUMOTEX2人艇の安定度の良さでまったく危なげなく瀬をクリアしている。後半では自分から先頭突入を買って出るなど、すでに“新撃沈王”ならぬ“新切り込み隊長”の予感さえ感じさせる度胸の良さを発揮していた。こりゃ、今シーズンは楽しみだっ!

 結局危なっかしくも、かつお...じゃなくてにしお隊員は最後まで疎沈のひとつも見せず、チーム“鮫”春の初心者雨中講習ツアーも大過なく終了した。しかし、カッパ一枚だったオカモト隊員と、防水性も怪しいフツーのウィンドブレーカー一枚だったかつお...じゃなくてにしお隊員(しつこい)は川から上がった途端に震えだしていた。やはり暖かくなったとはいえ、水に濡れるとまだ寒い季節であった。
 それにしても「獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす」というが、我がチーム“鮫”のなんと優しいことであろう。この木曽川・中流コースは本当に優しすぎる。やはりここは獅子に対抗して「“鮫”は新人をハードな川に放り込む!?」のほうがいいのだろーか? そんな気がした今回のツアーであった。

今回の教訓: 「雨の日はウインドブレーカーじゃ寒い!(当たり前)」