活動記録其の活動記録其の31・木曽川編part3
文:隊長
2002年3月17日
チーム“鮫”に新たな伝説!? 
〜木曽川・“まったり”コース初撃沈で、瀬に名を残した漢(おとこ)! とは?〜 
今回のMAP

暑い日でした。地球は確実に温暖化しています(←イキナリ不吉な予言)。
 例年ならまだまだ寒いはずの3月中旬、17日。東京では史上最速で桜が咲き始めたというだけあって、汗ばむほどの晴天である。
 チーム“鮫”の初心者講習コース・木曽川の中流域、名鉄・東笠松駅前にはオレ(隊長)、シミズ隊員、うー隊員、そして本日このコースでビシバシと練習させられるハズのアビルマン隊員、さらにホームページから応募してきたsakuzoゲスト隊員とためごろうゲスト隊員という2人のニューチャレンジャーに加え、ちょうど1年前、この同じ木曽川ツアーを最後に英国に語学留学に旅だった九州男児・荒川隊員(♀)の姿までもがあった。
 シーズン2002開幕2回目にして、イシカワ顧問すら欠席しているというのに総勢7名という大部隊になってしまっているチーム“鮫”である。どうなるんだ今年は一体? 

 今回は久々“ホームリバー”木曽川の超お気楽・ゆったり川流れコースで、前回“桃源郷”櫛田川でさんざんな目に遭ったアビルマン隊員が愛艇サファリ(激烈号)を乗りこなす練習のため、という意味も強く含まれている。なにしろこのコースでは過去3年に渡って10回前後ツアーが行われているのだが、乗り降りに失敗する、いわゆる“乗り沈・降り沈”を除けば
誰一人として撃沈も疎沈もしていないという超☆超お気楽ゆったりコースである。
 なんと“鰹”にしお隊員や“とんちんかんちん”アッキー隊員(←もう懐かしい存在)はおろか、あの“スーパー撃沈王”イチロー隊員や、我が“鮫”が世界に誇る“疎沈王・Mr.6”ことダッシュ隊員ですらノー沈というコースなのだ。今日こそは間違いなく何一つ「事件」は起きず、平和にゲスト隊員2名を交えたアビルマン隊員のサファリ練習お気楽ツアーとなるに違いないハズであった。

 10時30分には全員集合しており、昼飯の買いだしも終えてあったにもかかわらず、なぜだか結局エントリーしたのは約12時20分である。雪解け水の影響なのか、木曽川はかつてないほど水量が多かった。
(こりゃ引っかかる所がないなー。ってコトはアビルマン隊員の疎沈も今日は見られないなー)
と思わず思ってしまったオレであるが、そんなコトはおくびにも出さず川の真ん中に向けて漕ぎ出す。
 今日は突然4日前に一時帰国し、2日前に「カヌー行く〜」と言い出した“鮫”ロンドン支部の荒川隊員が、オレのシャーク4号・GUMOTEXヘリオスの前席に乗っているので少々心配だ。2人艇のヘリオスを荷物運搬用の貨物船として購入したオレとしては初の2人艇2人乗りなのだ。
 ヘリオスに2人乗りと言って思い出されるのはやはり“撃沈王”イチロー隊員&オカモト隊員コンビの揖斐川&大井川での連続撃沈である(2001年・揖斐川編&大井川編参照)。
(やっぱ2人乗るとコントロール悪くなるのかなー)
と密かにびびっていたオレは、漕ぎ出すなり、前席に座る荒川隊員に漕ぎ方をコト細かに教え始める。やはり2人艇はコンビネーションが重要なのだ。

 そして今回ゲスト参加の2人は? と振り返ると、リンクスUを駆るsakuzoゲスト隊員は日頃長良川・上流をテリトリーにしているというだけあって、いきなり
ウィリー漕ぎをしてみせるなど超・余裕である。
 しかしもう一人のためごろうゲスト隊員はまだフネを持っていないため“鮫”の基本標準艇・必殺スキップジャックを、アビルマン隊員から借りて乗っていて、少々不安な感じだ。以前にシーカヤックを漕いだことがあるとのコトだったが、直進性のあるシーカヤックと違い、我々のダッキーは船首をまっすぐに保つこと自体がまず初心者にはムツカシイ(ってゆーか、お尻をフリフリするから「ダッキー」なんだけど)。やはりフラフラしているようだ。
 しかし安定性はバッチリのスキップ・ジャックである。そしてここは木曽川・超お気楽コースなのだ。放っておいても沈することはあるまい。とりあえず超・基本的な漕ぎ方だけサッと教われば、後は自分で漕ぎながら学習できるのがこのコースのいい所なのだ。何しろ完全初心者でも
ココで沈したヤツ、いないし

 今日は水量が多いせいか、なんだかいつもより流れも速く、何もしなくても結構なスピードで流されて行く我々。方向さえ保っておけば、あとは何とかなってしまう感じだ。しかしアビルマン隊員のサファリはやはり回転性能が良すぎるためか、またあっちゃこっちゃしている。だが本人曰く
「フットレストとシートがしっかり固定してあるだけで、こんなに漕ぎやすいなんてー!」
と調子はまずまずのようだ。

 シミズ隊員とうー隊員はそれぞれいつもの“飛騨之守2”スターンズ・レイカーソロとカラカルTである。2人ともここは初めてだがこの平板なコースでは余裕過ぎて、昼寝してても無事にゴールできそうな勢いなので、かなりまった〜りと漕いでいる。
 そして今日はとてももう3月とは思えないほどの暖かさ、いや、暑さである。オレもシミズ隊員もウェットこそ着ているものの、上半身はTシャツ1枚という出で立ちで、それでもまだ照りつける太陽が暑いくらいだった(結局この日、気温は20度をゆうに超えていた)。流されるだけの緩・緩コースで超・晴天、無風とこれば、完全にお気楽☆極楽リバーツーリングである。やはりホームリバー。オレは久々に“鮫”の原点に帰ったような気がしていた。

 しばらく行くとすぐ愛岐大橋である。流れが変わっていなければ初心者だと若干びびる瀬(といっても0.3級くらい?)があるはずの所だ。水量が多いため、流れは速かったが、昨年までよりさらに緩くなっている感じがした。当然のように全員普通に通過してくる。ためごろうゲスト隊員ももう既に少し慣れたのか、それほど左右のコントロールに苦しんでいる風では無くなっている。
 で、その下がいつものランチポイントなのだが、
「まだ早すぎ」
というアビルマン隊員の意見を入れて、今日はもっと先で食べることにする。ってゆーか、どーやらアビルマン隊員、今日は浅瀬が全然なくて引っかからないせいか
「今日はこのフネすっごくいい〜」
と上機嫌のため、ノリノリで次々と行きたいようだ。
「瀬の中に入るとサファリはポンポン跳ねて気持ちイイ! 今日は
オレ最強!
などと、1年ぐらい前に根尾川で撃沈する直前のイシカワ顧問と同じセリフをそのまま、ほざいている。こーゆーヤツには
何かが起こるのが川の常だ。

 そして流れが速いせいか、結構あっさりと予定の半分くらいまで行ってしまう。そこで午後約1時30分、右岸に上陸した我々は早速「肉うどん」の製作に取りかかる。
 7人で12人前の肉うどんである。が、ちょっと問題発生。肉全部とネギ全部とうどん5人前を入れた所で、鍋がすでにいっぱいになってしまった。くそー、せっかく大人数に対応できるように今シーズンから導入した“初代・鮫大鍋”なのに、意外と容量は少ないらしい。
 仕方ないので、とりあえず第1ラウンドと第2ラウンドに分けて食べることにする。
 そしてやはりまだ気温が低いのか、カセットボンベではなかなか煮えてこない。第1ラウンドと第2ラウンドの間に時間が結構掛かってしまい、待っているうちにちょっと腹がふくれてしまう。
 またしても余るかと思われた鍋・前編&後編だったが、結局ほとんど全部食べてしまい、午後約3時30分、我々は木曽川後半戦に突入した。

 この後半戦開始すぐの所に、一応この「まったりコース」の中では最大の難所の2級弱の瀬があるはずだった。しかし行ってみるとその右岸には新しくテトラが追加されて昨年までとは流れが変わっており、瀬というよりは連続ウェーブと言った方が正しいようなものが5〜600mに渡って続く左カーブになっていた。
 先頭で突っ込むオレ&荒川隊員のシャーク4号。瀬の中でコンビネーションが崩れるコトは、イチロー隊員たちと同じ目に遭うコトを意味する。それが予想されたのであらかじめ瀬の中ではオレが一人で漕ぎ、前席の荒川隊員はただひたすら
飛んでくるしぶきに耐える、ということになっていた。
 テトラのせいか荒れてる時の海面のような複雑なウェーブが出ている。とりあえず普通に抜けたが、昨年までよりはヤバいコースになってしまっているようだ。2人艇2人乗りではちょっとヒヤリとした所があった。ほとんど抜けてから後を振り返ると、シミズ隊員とうー隊員がすぐ後をついてきている。その後にはsakuzoゲスト隊員、そしてためごろうゲスト隊員、そして...
「ありゃ?」
アビルマン隊員はかなり遠くで、
フネしか見えない。
 sakuzoゲスト隊員に聞くと、どうやら瀬に入る前の何でもない所でいきなり疎沈したアビルマン隊員は、再乗艇したものの、瀬の中ですぐまた撃沈。そのままフネに掴まって流されていたようだ。いくら安定のいいスキップジャックとはいえ、ほぼ完全初心者であるためごろう隊員が無事に抜けてきているというのに...。
 しかも途中のテトラポットの所で止まってしまっている。我々は流れがキツイ所のため、エディーのある所まで行って待っていたのだが、300mほど先の赤いフネ・激烈号はテトラポットの所から一向に動かない。
「引っかかってる? いや、まさかパドルを流されたのか?」
と心配したが、どうやらパドルは持っているようだ。sakuzoゲスト隊員が心配して岸沿いの比較的流れが緩いところを漕ぎ上がって見に行こうとしている。
と、その時、赤いフネがテトラを離れて流れに乗り始めたのが見えた。
 しかしフネは逆さまのままで、もちろん人は乗っていない。どんどん近づいてくる赤いフネ。漕ぎ寄せる我々。200mほど流されてきた所で近づいてみるとアビルマン隊員は愛艇GUMOTEXサファリ・激烈号にしがみつき、
「水の中は寒い〜!」
と、大声でわめいている。とりあえず無事のようだ。結局約300m流され、流れの緩くなった所でみんなのフネに囲まれてやっと態勢を立て直すアビルマン隊員&激烈号。
「一気に体が冷えた...」
と、さっきまで「サファリ最強、オレ最強」説を唱えていたアビルマン隊員とはすでに別人で、プールで
クチビルが紫色になった小学生のように辛そうな表情である。それでも前週の櫛田川よりは、服も乾きやすい素材の長袖のものを揃えて工夫してきているので、かなりマシのようだ。しかし体が冷えてカタくなったのか、再乗艇にもおっかなビックリのギクシャクした動きとなってしまっている。
 
 こうしてチーム“鮫”にまた新たな1ページが書き加えられることとなった。今まで誰一人疎沈すらしたことの無かったこの木曽川の“鮫”的教習コースで、アビルマン隊員は「初疎沈」&「初撃沈」というダブル・タイトルを一気に奪取してしまったのである。これを記念して、過去何度も通過してきているのに名前すら付けられていなかったこの左カーブ・テトラポット前の瀬はめでたく、
「アビルマンの瀬」
と名付けられることとなったのである。我がチーム2人目の偉業である。隊員の個人名が付いた瀬は昨年の庄内川・「ラスティックの瀬」以来なのだ。
恐るべしアビルマン隊員。恐るべしサファリ。そして
恐るべし「最強」伝説。
 やはりそのセリフは
禁句だったのだ。
 その後はまったくと言っていいほど瀬もなく、途中しばらく逆風に苦しめられたものの、午後約4時20分に我々は全員ゴールできた。

 アウトポイントに上がった後、アビルマン隊員は懲りずに言い放った。
「これからも
“最強”を目指してイシカワ顧問に弟子入りします!」
「そしてダッシュ隊員とはサファリ対決してみないと」

 サファリ対決...。今年はアツくなりそうである。
 そう思った、まるで初夏のように暑い一日だった。


今回の教訓: 緩い川でもやはり油断は大敵!
そしてNGワードに注意しないと瀬に名前を残すコトになる