活動記録其の43・櫛田川編part−3
文:隊長
2002年5月26日
13名中7名が水の中へ!?
〜チーム“鮫”ご一行様、桃源郷でしっちゃかめっちゃか(←死語)〜
オレ(隊長)、イシカワ顧問、シミズ隊員、miki-fish夫婦隊員、かつお隊員、アビルマン隊員、クリ坊隊員、ためごろう隊員、シバタ隊員、優子ゲスト隊員、はづきゲスト隊員、やまちんゲスト隊員という、総勢13名のメンバーが道の駅「茶倉」に集合したのは5月26日(日)朝約10時20分のことであった。
 今回は行き先が“桃源郷”櫛田川のせいなのか、なんだか参加メンバー&ゲスト隊員が集中し、チーム“鮫”初のフタケタを数える参加人数である。今まで最高記録は8名タイ記録が数回あったのだが、今日は前述したようにそれを大きく越えて、なんといきなり13名という大人数なのだ。
 はたしてどーなるコトやら?

 ステキに晴れ上がった空の下、道の駅「茶倉」を出発した我々はすぐ近くの橋を渡り、堰堤横の公園駐車場に到着。そこに5台の車を置き、残りの4台で一路上流のいつものエントリーポイント「神殿」近くの橋に向かった。
 そしてこれまたいつものように急で狭い坂道をフネを担いで降り、セッティングを開始する。しかし今回はフネの数がハンパじゃないのだ。
13名で11隻である。狭く、急な岩場ではとてもじゃないが、いっぺんにセッティングすることは不可能だ。そこでオレは一計を案じ、先に大型のフネだけセッティングしてそれに他のフネを荷物として乗せて対岸に渡し、広い川原で他のフネを組み立てるという作戦である。
 しかし、降りてみると今日の櫛田川は意外と水量がすくないせいか、腰ぐらいまで浸かれば対岸まで歩いていくことができそうだった。そこでとりあえずオレが先頭を切って“シャーク4号”GUMOTEX・ヘリオスを担ぎ、水の中を歩く。
 が、ヌルついた岩で滑っていきなり転ぶ。ううむ、泣けるぜ。でもとりあえず対岸に渡ることは可能のようだ。みんな次々とフネを抱えて渡ってくる。miki-fish夫婦隊員とイシカワ顧問、かつお隊員は渡らずに手前の岩場の上で強引にセッティングをするようだ。
 しばらくしてセッティング終了したオレは前席に、初参加のはづきゲスト隊員を乗せて漕ぎ出し、溜まりでみんなのセッティング風景を見ながらちょっと練習。はづきゲスト隊員にも練習してもらう。と、今回が先週の長良川に続いて2回目の参加となる優子ゲスト隊員が、イシカワ顧問のカラカルを借りて漕ぎだしてきた。前回はsakuzo隊員のリンクスUの前席に乗せてもらっていたため、一人で乗るのは今回が初めてである。ちょっと練習したいようだ(←賢明)。
 すると、岩場でセッティングを終えたかつお隊員が、フネを流してしまったのか水中を追いかけている。あやうく
“第2かつお丸”GUMOTEX・ヘリオス340を漂流船として櫛田川に流してしまう所だった。結局対岸まで行き、そこでエアーを再注入するかつお隊員。

 セッティングを終えたメンバーが順にエントリーしていく。アビルマン隊員は“激烈最強号”GUMOTEX・サファリ、miki-fish夫婦隊員は“航空母艦”オリノコ、シミズ隊員は“飛騨之守弐号”スターンズ・レイカーソロ、ためごろう隊員はスターンズ・リバーランナー、クリ坊隊員は昨日アビルマン隊員が購入してきたLOGOSの“2マンカヤック”、シバタ隊員はGUMOTEX・ヘリオス380、初参加の“矢作古川近くの人”やまちんゲスト隊員は
商品名“インフレータブル・カヤック”(←なんか名前つけようよ)という怪しい黄色いダッキーである。そして愛艇カラカルを優子ゲスト隊員に貸したイシカワ顧問は、前々から欲しがっていたGUMOTEX・ヘリオス340をこの機会にと昨日購入してきており、今日が進水式である(クリ坊隊員のLOGOSは、昨日アビルマン隊員が買ったその足で“鮫”の聖地・員弁川へ行き早速試乗していたので進水式は済んでいた)。

  そして午前約12時5分、総勢13名・11隻の、前々回・飛騨川よりさらにボリュームアップしたチーム“鮫”連合艦隊は櫛田川ツアーをスタートした。
 ほんの数百m行くと早速、今シーズン最初の開幕戦でアビルマン隊員が初撃沈したちょっとした瀬(でも1級もないくらい?)が現れる。なんとアビルマン隊員が先頭をかって出て突入。続いて次々クリアする“鮫”連合艦隊。幸先いいスタートである。やっぱり櫛田川は気持ちがいい。水は前回よりさらに少し濁った感じだが、ロケーションは相変わらず最高...と、最初の沈下橋の手前で振り返ると最後尾のイシカワ顧問が
撃沈して流されていた...。
 今まで安定しまくりのカラカルに慣れているイシカワ顧問である。やはり安定度いまひとつのヘリオスで、いきなりの瀬はちょっとムリがあったようだ。少し練習すべきだったのだ。くしくも昨年9月の同・櫛田川“爆沈・脱臼事件”以来約半年ぶりの撃沈である。前回のアビルマン隊員とまったく同じ瀬なので、なんだか微妙に因縁を感じる。
 と思ったら、沈下橋をくぐってすぐの所で、先に行ったハズのアビルマン隊員がこれまたちょっとした瀬で撃沈していた。スタート後1kmどころか500mも行っていないのに早くも2名が撃沈してしまっていた。うーむ、今日はまだ何かありそうな予感が...。
 
そして順調にそこからしばらくは岩場に囲まれた渓谷が続く所だ。やはり飛騨川っぽい感じがするポイントでステキな風景が続く。しかも水質は今日はイマイチとはいえ、飛騨川よりは遙かにキレイな櫛田川である。シャーク4号の前席に乗っている“バックパッカー”はづきゲスト隊員も荷物を背負った旅とは、ひと味もふた味も違う川の上の旅にすでに感動しているようだ。
 この晴天、この水質、このロケーション、そして美味しい山の空気と、ちょくちょく聞こえてくるウグイスの鳴き声。もちろん人工構造物など一切見えないポイントなのだ。すでに日常生活でまとわりついたものが、キレイに剥がれ落ちていったような感じがしてきている。やはり“桃源郷”である。やはり櫛田川なのだ。

 11隻の隊列が伸びて、初の一人漕ぎである優子ゲスト隊員が遅れ始めた時だった。ちょっとした浅瀬で落ち込みの下にハマりこみ、出られなくなってしまった優子ゲスト隊員。ダッキーは瀬に直角に落ちれば何もしなくてもフツーにクリアして吐きだされてくるものだが、横向きに入ってしまったため安定度バツグンのカラカルだからこそ沈しなくて済んだものの、流れに捕まってしまって出られなくなってしまったのだ。水が次々入ってきて傾くカラカル。しかしそこはヌケのいいセルフベイラーが付いているカラカルである。傾くがなんとか沈せず耐える優子ゲスト隊員。イシカワ顧問が漕ぎ上がって救出に向かう。瀬の近くまで行き、カラカルを押し出そうとして乗りだし、自分が沈してしまう。イシカワ顧問、本日早くも
2沈目“救出沈”である。
 結局パドルで瀬の中の岩をドツいて脱出に成功した優子ゲスト隊員が流れてきた時、イシカワ顧問はまだ足の付かない水中を漂っていた。オレは優子ゲスト隊員のパドルがアンフェザー(ブレードが90度ヒネってついている状態)だったのを見て、フェザーパドル(ブレードが水平ってコト)に直して渡す。ほぼ完全初心者なので、左右のコントロールが満足に出来ないうちはフェザーパドルの方が、漕ぎやすいのだ。

 隊形は緩く拡がったまま我々は進んで行った。シバタ隊員は瀬のある川がまだこれで3回目であるが、初回の武儀川で3沈して以来、飛騨川では後ろ向きに“すりむきの瀬”に入ったりしてもノー沈でクリアしてきている。今日はもう慣れた感じで漕いでいた。かなり余裕っぽいので、次はゲストさんを乗せて漕いでもらおうと勝手に心に誓うオレ。
 初参加の“怪しいダッキー”を駆るやまちんゲスト隊員は、
「山」で「沈」するというワリとヤバめな名前ながら、黄色いダッキーを自在に操りスイスイ進んでいる。我が“鮫”のホームページを見てフネを買って以来(←かなり奇特な人だ)、これまた我々の活動記録を読んで矢作古川に行った他は、海で一度浮かべただけで今回が3度目だという。しかしアンフェザーパドルでちゃんと漕げているので、ジツは運動神経がかなりいい人なのかもしれない。

 しばらく行って隊形はさらに伸びていった。どうやらアビルマン隊員とシミズ隊員が先行してランチポイントまで行き、先に上陸してお湯を沸かしておこうということらしい。
 オレもシミズ隊員に続き、先を急ぐ。今回のコースで最大の通常だと2級強はある瀬も、今日は1級強くらいであった。ヘリオス2人乗りでも無事クリアし、ランチポイントに到着する。上陸してお湯を沸かし始めた頃、次々とメンバーが到着し始める。と、同時にお天気雨が降り出し、しばらくして今度は曇り始めてしまった。どーも怪しげな天気だ。
 沈はしてないが飛沫を結構被り、ズブ濡れのはづきゲスト隊員が震えている。綿の半パンを履いているためか、乾きが悪いようだ。やはり川に綿類のウェアは禁物なのである。
 たき火好きなmiki-fish旦那隊員と“アウトドアマン”シバタ隊員が中心となって流木を集め、火を起こした。早速たき火にあたっていたのははづきゲスト隊員だけではなく、優子ゲスト隊員も一緒であった。
 今日のランチは人数が多いことから手間をなるべく省くため、
20人前のラーメン&82個のギョーザというメニューである。巨大鍋2つでラーメンを製作し、もうひとつの鍋でギョーザを茹でる。完成を待って乾杯である。やはりウマい。しかし相変わらずチマチマとお天気雨が降ったり止んだりだ。
 さんざん食べた後、今回は色々なダッキーが揃っているので、乗ってみたいフネの試乗会となった。そこで、miki-fish旦那隊員がサファリ試乗で
イキナリ疎沈してしまう。やはり安定良すぎのオリノコに慣れているためか、サファリではバランスをとるのが難しいらしい。
 大試乗大会を終えた我々は再スタートし、ランチポイントから見える沈下橋をくぐる。前回はアビルマン隊員が撃沈をカマしたが、今回は無事で誰一人そこでは沈しなかった。
 ここから初めての一人漕ぎに苦労していた優子ゲスト隊員が“航空母艦”オリノコにmiki-fish妻隊員と乗り、miki-fish旦那隊員がカラカルに乗って行く。miki-fish旦那隊員は昨年夏の万水川〜犀川以来の一人艇ツーリングだ。
 そしていくつか小さな瀬がある所を越えてしばらく行くと、いよいよ本日のハイライト“透明な瀬”が近づいてくる。しかし“透明な瀬”を目前にしたなんでもないトロ場で、ためごろう隊員が
疎沈。しばらくしてかつお隊員もこれまたなんでもない瀬で隠れ岩に引っ掛かり撃沈。これですでに5人で6沈である。ううむ“桃源郷”なのに、やっぱりチーム“鮫”である。
 そして“透明な瀬”を通過。今日は水量がいまひとつのせいか、ちょっと元気が無い感じがした。しかし相変わらず越える時には息を飲む美しさだった。

 その後もタマにお天気雨が降ったり曇ったりの繰り返しである。でもこのまま順調に行くかと思われたが、左岸で子供たちが釣りをしているポイントにちょっと落差とヒネリの入った瀬が出現する。2人乗っているシャーク4号では細かいコントロールが利かないため、びびるが、結局なんてコトもなく余裕でクリア! と、思ったら一番デカい落差の瀬を降りた所で、先にクリアしたイシカワ顧問のヘリオスがまだ留まっており、横向きにぶつかるオレ&はづきゲスト隊員の乗るシャーク4号! 2人乗りのヘリオス380と1人乗りのヘリオス340の衝突の結果、なぜか大きくて重いハズの2人乗りの380
(つまりオレたちのフネ)がひっくり返り、撃沈! 放り出されて流されるオレ&はづきゲスト隊員。
 足が付くような付かないような中途半端な所だったため、オレはパドルを握ったまま、余裕で立てる所まで足を上げて流されるコトにする。しかし結構深い浅いがマチマチなのか、いきなりケツを打ったりして痛い。これじゃあ前の飛騨川の“すりむきの瀬”のsakuzo隊員&アビルマン隊員と同じじゃないか。
 結局50mくらい流されて、左岸に回収されていたシャーク4号に追いつく。はづきゲスト隊員も水の中を歩き、途中から、漕ぎ上がって救出に向かったシバタ隊員のヘリオスに乗せてもらって岸にたどり着いた。またしてもズブ濡れで震え始めるはづきゲスト隊員。とりあえずまた、綿パンを脱いで水を絞り、今度は上半身もズブ濡れのため、シャツも脱いで絞る。シャツは速乾性のウィックロンだが、やはり天気も曇っていて芳しくないので、イマイチ寒いようだ。とか、言いながら今日はオレもシャツは綿製のものを着ている。でもメッシュになっているせいか、一度脱いで絞ってから着るとそれほど寒くはなかった。材質の他に布の織り方にもよるのだろうかと思う。
 そしてこれが遂に
チーム7沈目で、2人がいっぺんに行ってしまったため13名中7名という“過半数沈”を達成してしまった情けないチーム“鮫”なのである。
 それとどうやらオレには「PFDのジンクス」があるようだ。長らく愛用している襟付きのPFDを買った時はそれを着て出た長良川・二股の瀬で人生初撃沈(長良川編part−1参照)。そしてその後、浮力8kgのPFDを格安で見つけたため衝動買いして、挑んだ豊川では自爆沈をカマしてしまっている(豊川編part−1参照)。今回もジツはPFDをハーネスタイプのものに新調してきて今日初めて着たばかりなのである。
 どーやらオレの場合、新しいPFDを下ろすと、神様が浮力を試させてくれるらしい。おかげでまた
有難味がよーくわかりました(合掌)。

 そんなこんなで、その後もステキなロケーションながら曇って来てしまった“桃源郷”櫛田川だったが、我々はまった〜りと漕ぎ続け、午後約17時ちょっと前、いつもの堰堤に上がったのだった。

 それにしても13名という大人数のツアーは結構壮観なものがあった。しかしカヌースクールではないので、あんまり増えすぎても考えものである。
 確かに世間にはルールや規則でがんじがらめにされて、我々からすれば「ツマんなさそー」なカヌーをやっている人が多い(むしろツマんないから気軽にカヌーやる人が少ない?)ように思う。我々のような、いーかげんなカヌーチームに人が集まり出すのは「お気楽☆極楽」なカヌーをやる人が、あんまりいないからじゃないのだろうか? 
 アウトドアレジャーはクソ鬱っとうしい日常のしがらみから外れて、楽にやれるのが楽しいんだと思う。カヤッカーなら、川の上でこそ自由であるべきなのだ。そこで大人数の団体になってしまうと自由が利かなくなるような気がして、それはそれでちょっと考えものだと思ってしまう小さなオレなのだった。

今回の教訓: 綿のウェアはやっぱり避けよう。だって濡れるとホントに寒いし