活動記録其の62・牧田川編part-4
文:隊長
2002年9月29日
往生際悪いぞツアーで意外な収穫!? 
〜水量少なくても、やっぱり牧田川は元祖・癒し系でした〜
  「120km走ってきて、4km漕ぐ」
 本日のうーやん隊員の名言である。

 チーム“鮫”2002年9月ファイナル(オレ暦では9月までが「夏」)は2日前からの大雨にビビって、近場の川になった。本当は大雨が降ったということで、日頃水量の少ない野洲川を狙っていたのだが、前日・土曜日のシミズ隊員のスカウティングによると、それでも水が少なく、
「ちょっと下るのはキツそう」
とのことだったので、一転してさらに大雨の降った西の方の宮川・下流コースという案も浮上していた。が、現地の天気予報は70%で雨、という
非情なものであった。
 結果、
「宮川まで行って雨だと悲しい」
との意見から、当日朝起きてみて、天候が良ければ近場の牧田川ショートコースを楽しもうという、いつものように雨でもスッパリ諦めきれない
往生際の悪い計画となっていた。
 
 集合場所はこれまたいつものように上石津トンネルの下流からちょっと上がった所だ。オレは早く着きすぎたため、エントリーポイントで川原に降りて水量をチェックしていた。するとシミズ隊員から電話が入って場所を教えてくれという。そう言えばシミズ隊員は現在のレギュラーメンバーの中ではすでに古参隊員の部類に入るのだが、なんと今まで牧田川には縁が無く、今回が初めてなのだ。しかも本日の参加メンバーの中では最も家が近い(車で30分くらい)のにである。
 エントリーポイントでシミズ隊員と合流し、アウトポイントの川原へ移動する。しかし当たり前のようにまだ誰も来ていない。小雨の降る怪しげな天気の中、川原にはアウトドアチェアにゆったりと腰掛けてバーベキューを楽しむ、初老の夫婦が居ただけだった。
「味があるねぇ」
などと熟年夫婦を見て感心しているとシバタ隊員から電話である。どうやら同じく場所がよくわからないようだ。簡単に道を教えて、途中の駐車場スペースに着いたらもう一度電話をもらえるように言っておいた。
 この牧田川の川原は4駆の、車高がちょっと高い車でないと引っ掛かったり滑ったりして無事に降りてくるのは難しいのだ。シバタ隊員の車は4駆でないばかりか、
フェンダーにエアロパーツまで付いているという、おおよそアウトドアマンには似つかわしくない車であるため、間違いなくガリガリ引っ掛かってイヤな音を立てるのが目に見えていた(←音なのに“見える”とはこれ如何に!?)
 と、しばらくして白い車が
強引に急坂を下って川原に降りてくるのが見えた。シバタ隊員だった。
 めちゃくちゃである。いや、筋金入りのアウトドアマンのシバタ隊員にとってはこんな程度のジャリ道、普通車でも余裕で行ける道で、4駆に乗るならもっと道無き道を行かねばならないという
無言のメッセージなのかもしれなかった。
 降りて来たシバタ隊員には連れがあった。“子鮫”こと、マイちゃんである。活動に参加するのは九頭竜湖、王滝湖に続いて3度目だ。が、今回は、初めて川である。しかも小雨が降っている。
 って、そういえばマイちゃんが参加した九頭竜湖も王滝湖も雨だった...。しかし今日は川とはいえ、牧田川である。危険度など限りなくゼロに近く、むしろ九頭竜湖や王滝湖のが危険と言えば危険なぐらいの所だ。この元祖・癒し系の牧田川こそ、マイちゃんが初・川デビューするのに最適といえた。

 さて、小雨の降る寒々とした感じの天候のもと、今日は出も遅かったしエントリー前にラーメン食べて、暖まってから行こうという計画である。早速ラーメン10人前を取り出し、お湯を沸かして作り始める我々。しかし一気に10人前作るのは危険かつ、まだ来ていないメンバーの到着時間によっては水吸ってノビノビの
物体“Z”(←もう“終わったもの”の意)と化したものを食べさせるのは可哀想である。従ってとりあえず8人分作ることにする。
 本日のあとの参加予定メンバーはsakuzo隊員とうー隊員である。電話してみると、なんとsakuzo隊員は我々を捜し回った挙げ句発見できず、もう帰り道だという。我々の居た位置は川原でも崖の下くらいの所だったため、川原まで見に来たsakuzo隊員には熟年夫婦のバーベキューしか見えなかったようだ。もうかなり戻った所なのと雨も降っていて甥っ子を連れているということで、sakuzo隊員は今日はそのまま帰ることになった。残念。
 うー隊員はと言えば、その時
まだ現地から10km以上も離れた所を走っているという大遅刻である。しかも途中で帰る途上のsakuzo隊員とすれ違うなどという謎の事件まで起こしていた。行く者有れば、来る者有り。
 しかしsakuzo隊員が来ないとなると、準備したラーメン8人前の行方が気になる所だ。いきなり2人減り、肝心要の大食らい(失礼?)うー隊員はまだ到着までかなり掛かりそうな勢いなのだ。
 結局、うーやん隊員
1時間以上遅刻。その頃我々は既に腹一杯ラーメンを食べていつものように“もう食えねぇ”状態に突入していた。
 遅刻してきたうーやん隊員が
物体“Y”(←最後まで行く“一歩手前”の意)をうまそうに食べ尽くした後、小雨の川原で会議が催された。そう、今日やるかやらないかである。
 すでに120km走ってきてヤル気マンマンとなっているうー隊員はもちろん、シバタ親子隊員も
「せっかく来たんだしねぇ」
と静かにヤル気を漂わせている。しかし眼前の牧田川は天気が良くないどころか、この2・3日雨で、今も小雨が降っているにもかかわらず全然水が少なく、この水位では過去の経験上船底を擦りまくってしまうライニングダウンツアーがそれこそかなり
かなり確実に予測できるほどだった。
 オレは悩んだ。シミズ隊員も悩んでいたが
「よし! 今日はやめよう!」
とやらないことを決意したようだ。うーむ。さらに悩むオレ。しかし結局うーやん隊員の
「120km走ってきたんだから!」
の殺し文句に負けてやることにする。そう言えば前にも雨の牧田川に来て、悩んだ挙げ句やらずに帰って後悔したことがあったのだ。まぁ、あの時は風邪もひいていたので、仕方がないと言えば仕方がないのだが...。

 今日はやらない宣言したシミズ隊員に、エントリーポイントまで送ってもらう。川原でフネをセッティングする我々に
「今日は時間掛かるだろうな〜」
などと言うシミズ隊員だったが、その表情にはまだ
迷いがあった。

 それまで霧雨程度だった雨はいつの間にか止んでいた。そんなタイミングで我々は牧田川にエントリーした。シミズ隊員が笑顔で見送っていたが、その表情には
まだ迷いが抜けきっていなかった。
 エントリー直後のちょっとした瀬で歓声をあげるマイちゃん。シバタ親子隊員は今日は二人でGUMOTEX・ヘリオス380(しばっち1号)である。うー隊員はもちろん“激烈うーやん号”GUMOTEX・サファリだ。そしてオレは久々“シャーク2号”GUMOTEX・ジュニアで来ていた。
 
 牧田川は激しく浅かった。しかし、しばっち1号は浮力の大きさで、うー隊員の“激烈うーやん号”は丸い船底が巧みに石を乗り越え、オレのシャーク2号は
“必殺☆体重平均化漕法”(腰を浮かしてフネのヘリに足を乗せ、体重を平均的にフネにかける漕ぎ方。超・浅い所を通る時には有効なワザだが見た目はかなりカッコ悪い)で次々と浅瀬をクリアしていた。
 なんだかんだで引っ掛かるが、降りて歩かなければならない所はそれぞれ3〜4箇所で意外とスイスイ進める。シバタ親子隊員だけは2人艇のため、さすがによく引っ掛かっていたが、それでも降りなければならなかった所は5〜6カ所なのだった。

 今日も牧田川は癒し系だった。うー隊員は
「冬に来て以来だけど、あの時はアビルマンがスキップジャックでヨタヨタしてたのに気を取られて気づかなかったー。この川いい! 最高〜!」
と感動していた。確かにいつものコトと言えばいつものコトなのだが、牧田川は水質も良く、ロケーションも超・素晴らしいのだ。少々天気が悪くても、その程度で陰りをみせるような川ではない。タマにある深みでも水深はせいぜい2m前後で、クリアーに透き通って見える。川底もキレイな砂が見える所がたくさんあって、薄いブルーの美しい水に我々はふわんと乗せられて流されていた。
 まさにダッキー乗りで良かったと思う川である。フツーのカヌーではこの川には絶対来られまい。
 例によって例の如く、途中のキレイなトロ場で、もーガマンできなくなったうー隊員が飛び込んでボディ・ラフティングを始めた。子鮫・マイちゃんも同じくボディ・ラフティングをして遊んでいる。天候的には寒そうな感じだが、水に入ってみると水温は意外に低くはない。季節の変化の中で、気温より少し遅れて水温は下がるというのは本当のようだ。
 結局止まっては遊び、遊んでは止まりをしていたので結構時間が掛かってしまっていた。

 そしてゴールまであと400mぐらいという所でとてもステキなボディ・ラフティング・スポットを見つけてしまった我々は、そこで小さな滝の逆走&木から下がっているロープを使っての飛び込み&ボディ・ラフティング大会にハマってしまっていた。そのトロ場はとても澄んだ水がゆる〜りと流れていて、とてもいー感じの遊び場だった。
 うー隊員などは小さな滝によじ登り、その流れのど真ん中に腰をおろしたかと思うと、そのお尻で流れをせき止めてしまったのだ。
ケツダムである。恐ろしい新必殺ワザである。ってゆーか、なんて傍若無人な所行であろう。
 普段ならここまで下ってくると、アウトポイントから大型4駆でなら入って来られるためそろそろ人の気配がしてくる所だが、今日はこのあいにくの天候のおかげ(!?)もあってか、人の姿は全く無かった。まさに貸し切り状態? と、思ったら歩いてくる人の姿が...。シミズ隊員であった。
 我々があんまり遅いので、気になって歩いて上流へ遡ってきたシミズ隊員はそこで飛び込んだり滝に登ったりして遊ぶ4人を見つけて
「ああ〜! くそ〜!!」
と唸り、アウトポイントまで走って行って車からウェットを引っぱり出すと、ソッコーで着替えて戻ってきて参加しだしたのだ。我々が透明な水の中で遊んでいるのを見て、くすぶっていたものが爆発したようだった。
 そうである。やはり天気が悪かろうが、牧田川なのだ。まだ水温も低いワケではないし、そもそも癒し系の川に来たならばなんらかの方法で無理に工夫してでも楽しむべきなのだ。
 シミズ隊員もそこからはハジけ、飛び込み、泳ぎ、流され、ロープに登り、沢にも登り、そしてケツダムまでマネしてみせたのだった。自称22才・学生の30代オヤジ、シミズ隊員も、このときばかりは無邪気な小学生になっていた。自然の中で遊ぶということはこういうことなのだろう。
 子鮫・マイちゃんも牧田川を満喫したようだ。しかし親鮫・シバタ隊員は前半に引っ掛かるたび降りてフネを押していたせいか少々お疲れ気味のようで、少々遊んだ後は我々が遊ぶのを座って眺めていた。まさに我がチームの“父親”のような風格であった。



 その後もシミズ隊員は、うー隊員の“激烈うーやん号”に乗せられ、ゴールまでずっとはしゃぎながら下っていったのだった。
 天気が悪くても、やはり清流は素敵だということが、またしてもよくわかった牧田川ツアーなのでした。











今回の教訓: 「癒し系の川は天気が悪くてもやっぱり癒される」