活動記録其の34・豊川編part2
文:隊長
2002年4月6日
チーム“鮫”豊川を見直す!
〜真実の豊川でシミズ隊員は新必殺技を会得!?〜
朝8時まで、愛用の国道23号が通行止めになっていた2002年4月6日、オレ(隊長)はその渋滞の車の列の中でイライラしていた。
 今日の目的地は豊川である。豊川といえば昨年8月、鮎釣り解禁後だが、平日月曜ならなんとか下れるのではないかと思って行ってはみたものの性悪釣り師に罵声を浴びせられ、
(ロケーションはいいけど水も大してキレイでもないし、もう二度と来るコトはないな)
と思っていた川である。
 それが琵琶湖お花見ツアーの予定を組んだイシカワ顧問が仕事で不参加となり、
「それならもうお花見ツアーはあちこちでしたし、どっか近場の川に行こう」
ってコトになって、その候補地として豊川が急浮上したのだ。
 ちなみにアウトポイントととなる桜淵公園は桜の名所(そーいやー名前に“桜”って入ってるぢゃん!)として有名らしかったので、
ひょっとしたらまだお花見ツアーができるかもー、なんていう打算が入っていたコトは言うまでもない。

 結局、集合時間に10分遅れたオレが桜淵公園下の河原に到着した時にはもう、シミズ隊員、うー隊員、sakuzo隊員がシビレを切らして待っていた(ホントはもうちょっと早く着いたんだけど、公園の駐車場から入ろうとしたら「桜まつり」のため、途中封鎖されてて警備員のオッサンに迂回路を聞いてたのでさらに遅刻してしまうという失態を演じているオレ)。

 今回は前回と同じ上流コースか、この桜淵公園からエントリーする下流コースかで迷うが、やはりロケーションを取って上流コースを選択してしまうのがチーム“鮫”なのだった。
 しかし水量が気になる...。確か前回はもう少し河原が狭くて水がもっと手前まできていたような...。が、シミズ隊員は
「前回より水多いですよねぇ?」
などと言っている。やはり人間の記憶(主にオレ?)はアテにならんものだ。


 前回と同じ滝神社下の岩場からエントリーしたのはそれから約30分後である。 そこで我々(オレとシミズ隊員)は目を疑った。
「アレ? 豊川ってこんなに
水キレイだったっけ?
 そうである。今日の豊川の水は明らかに前回より澄んでおり、宮川に迫りそうな勢いの水質にも見えた。これが
本来の豊川なのか? ってゆーか、水質って季節によって変わるもの?

 そーいえば宮川も櫛田川も、夏と冬ではかなり水質が違ったが(この二つは逆に冬の方が濁ってるようだが...)、豊川もそうなのだろうか。
 とりあえずエントリー地点のトロ場(昨年オレがあの忌まわしき必殺技“自爆ロール”をカマしてしまった所)では、まずその水質に驚く。
 そしてすぐ下にある、前回ダッシュ隊員の伝説
「一日6沈」のスタート地点となった瀬を抜け、我々はポカポカ陽気の中、渓谷を流れる豊川を滑り出した。
 今日のオレは
「豊川ならこれでよかろう」
と、シャーク4号・GUMOTEXヘリオスである。先週の板取川で
“不沈伝説”に幕を下ろしてしまったシミズ隊員も、今日は自身“鮫”デビューした記念の川・豊川で心機一転、そして愛艇“飛騨之守2”スターンズ・レイカーソロも前回のファルトボート・飛騨之守1から変わっているので、豊川は初だ。うーやん隊員はいつものカラカルT、sakuzo隊員は当然のようにリンクスUである。

 sakuzo隊員は今まで長良川・木曽川などの大河しか知らなかったため、豊川の両側に崖が迫るロケーションにかなり感激している。水量は多くもなく、少なくもなくという感じで、船底を擦るという「新鮮な」体験にもドキドキしているようだ。
 前回はイマイチ濁っていたので、隠れ岩が見えにくくて止まってばかりいたオレだが、今回は水面下もよく見えて比較的スルスルと行ける。

 前回オレの自爆ロールから始まってチームで8沈(うち6つはダッシュ隊員)しているこの豊川だが、今回はなんだかスムーズに行きそうな感じだ。最近の初夏のような気候のため、結構暑い。またしてもカワセミが飛び、ウグイスが鳴き、タマに崖上にある山桜は7割方散っているものの、まだ白桜色の花びらを残しているというシチュエーションが展開していた。
 素敵な風情がそこにあった。
 うー隊員は早速、
「スゴくいい! また近々来ましょう!」
と、かなり気に入った様子でウキウキしている。
シミズ隊員はと言えば、
「前の時は釣り師がいっぱい居たし、ファルトで底擦ってたからあんまり楽しめなかったけど、いや〜豊川って、こんなにいい川だったんですねー」
と、こちらもご満悦だ。
 オレも清流といってもいい透明感のある水に、顔が弛み、いきなり豊川を見直してしまっていた。タマに現れる1級程度の瀬もかなり楽しい。自分から水を被りに行きたくなるほどの爽快感だ。

 いい天気に加えて水もよく、しかも前回と違って今日はまったく釣り師の姿を見ない。我々は完全に最高モードに入ってしまっていた。水面下には巨大な魚影が群れを成して移動していくのがクッキリ見えることもあり、食欲をそそられる。

 午後約13時、我々は長篠城跡前の宇連川との合流点を過ぎた所で右岸に上陸、ランチをとることにした。今日は性懲りもなくまた、4人なのに
パスタ1kg(※天竜川編参照)である。しかしソースは天竜川の時のインスタントとは異なり、ちゃんと貝とハーブの入ったコンソメスープである。岩場でセロリとタマネギとニンニクを切り、鍋に入れ、もう1つの鍋ではパスタ1kgをコツコツと茹でる。
 完成。
 そしてsakuzo隊員が持ってきた
赤ワインで乾杯。最近なんだか着々とリッチっぽくなってきている“鮫”の食卓なのだった。
 ランチを食べている間中、すぐ側の水面でやたら魚がハネる。水面を流れていく木の葉を虫と勘違いしてアタックしているようだ。
「毛針持ってきて流したらイッパツじゃない? そしたら初の食料現地調達が可能になるかも」
と、喜ぶ我々。よーし、今度は食べに...じゃなくて、釣り道具持ってくるかなーなどと思わず更に食欲をそそられるオレであった。
 
 午後約14時30分、少し曇ってきた天候の下、再エントリーした我々はまたしてもまった〜りと進んでいった。ロケーションは相変わらず飛騨川ちっくな岩場が続き、蛇行している。澱んでいてほぼ静水の所でも、今回はなんだか水が澄んでいて、水面下を行く魚たちもよく見える。とても静かで、パドルを止めると時おり遠くから聞こえる鳥の鳴き声以外はまったく無音の世界だ。
 と、sakuzo隊員がまたあの木曽川で見せた必殺
“ウィリー漕ぎ”を始める。そしてしばらくすると今度は安定性の高いリンクスの特性を活用して、フネの上に立って漕ぐという荒技を始めた。それを見たシミズ隊員には何かが閃いたようだ。
 あくまでリンクスやカラカルに比べると、だが、安定性は厳しいスターンズ・レイカーソロで同じように立ち漕ぎに挑むシミズ隊員。最初はグラグラしていたが、しばらく繰り返しているとへっぴり腰ながら意外にちゃんと漕げるようになっていく。シミズ隊員曰く、
「先週、不沈記録が途切れたから、何か新しいワザを身に着けないと」
 そうである。我が“鮫”のホームページ・隊員名簿の欄には各自「必殺ワザ」が書き込まれている。以前までシミズ隊員の必殺技は“不沈記録”であり“アンブレイカブル”であったのだ。それが先週の板取川で途切れてしまったため、彼は新たなる“フィニッシュ・ホールド”(←プロレス用語で“必殺技”の意)を求めていたのだ!

 オレは隊長として即座にそれを理解し、シミズ隊員の努力を称え、そのsakuzo隊員から伝授されたシミズ隊員の新・必殺技を
“矢切の渡し”(フネの上に立ってパドルを操るその姿が渡し船の船頭さんにそっくりだったから)
と命名、認定したのだった。

 と、まだ必殺技をもっていないうー隊員まで、カラカルの安定性を試すかのように“矢切の渡し”を始め、オレ以外3人が立ったままカヌーを漕ぐという、ハタから見たら
謎のカヌー軍団と化してしまうチーム“鮫”。くやしいがシャーク4号・GUMOTEXヘリオスの、巨体のワリに横方向に弱い安定性ではマネのできない芸当だ。


 そんなことをして遊びながらほぼ静水に近い所をトロトロと下った我々の前に、アウトポイントである桜淵公園が見えてきたのは午後4時を過ぎた頃だった。シミズ隊員はゴールを惜しむかのように、河原でバーベキューしていたパーティーや、ポリ艇を車の上に積んだ他のカヤッカーに
新・必殺技“矢切の渡し”を披露している。あっけにとられている(呆れてた?)ように見える河原の人々の視線を感じながらシミズ隊員は上機嫌であった。
「ポリ艇のヤツらがロールを見せつけてくるなら、こっちは
コレを見せてやる!
などといきがるシミズ隊員。なんだか先週の撃沈以来、キャラが変わってきたような気がするのは、それこそ気のせいだろうか...。

 今日はなんだか、余裕で着いてしまったので慌てて撤収することもなく、接岸後しばらくはお互いのフネを取り替えて静水を試し漕ぎしたりしてみる。みんなオレのシャーク4号の安定性のなさ(ってもやっぱりカラカルやリンクスに比べれば、の話)に驚き、シミズ隊員は試乗でいきなり疎沈してしまう。しかしうー隊員はなんだかヘリオスが気に入ったようだ。sakuzo隊員も、今日は来ていないが、アビルマン隊員のサファリにかなり興味を示しており、購入を検討しているらしい。チーム“鮫”にセカンド・カヌー購入の嵐が吹くのか!?
 という、いよいよこれからまた、ダッキーのアツいシーズンが始まりそうな予感が漂った豊川ツアーだった。
 

今回の教訓: 「川は季節によって水質が変わるらしい。一度で決めつけるのは注意!」